手術・麻酔関連情報

術後合併症のリスク
この項では避妊、去勢手術での術後合併症について解説しています。
麻酔リスク以外の手術自体の合併症については比較的まれですが、経験上考えられること、報告されていることについてご紹介いたします
去勢手術
縫合糸に対するアレルギー反応
精索や血管を結ぶ際に使用する糸に対してアレルギーを起こして縫合部位や結紮部位に肉芽腫性炎症を生じることがあります。従来はミニチュアダックスフントなどの特定犬種への絹糸の使用により発生するとされていましたが、最近では他の糸での発生も報告されています。当院では血管シールド装置の導入により、体内に糸が残らない術式を取り入れて予防しています。
創面の細菌感染
術後の衛生管理が不十分であったり、動物が舐めたりかき壊したりすることで創面の炎症、化膿が起こることがあります。抗生物質や炎症止めを使用したり、エリザベスカラーを装着することで予防する場合があります。
腎障害
手術に伴う循環血液量の減少から、腎臓の血流量も低下して急性腎障害になる危険性があります。術後の食欲不振が続くことで脱水傾向になることも腎臓への悪影響になります。術中、術後の点滴や帰宅後の食欲や排尿に注意が必要になります。
避妊手術
縫合糸に対するアレルギー反応
去勢手術と同様です。腹腔内での反応ですので発見が遅れる事が多く、腸管や他の腹腔内臓器の癒着や機能不全の原因になります。
腹腔内臓器の損傷や出血
血管が豊富な卵巣と子宮を摘出するため、不十分な結紮や不適切な縫合糸の選択による腹腔内出血の報告があります。肥満による脂肪沈着はその発生のリスクを高めます。また術式上、卵巣と腎臓の間の靱帯を牽引しますので、腎臓などの組織を損傷する可能性があります。大型犬や胸板の深い犬種は注意が必要です。子宮頚の結紮の際に尿管を損傷したという報告があります。
創面の細菌感染・腎障害
去勢手術と同様です。
腹壁ヘルニア
腹壁ヘルニアとは皮膚の下に腹腔内臓器が飛び出した状態のことです。腹壁の縫合に不適切な糸を選択したり、何らかの原因で腹壁の癒合が遅れたりすることで発生します。癒合不全は妊娠前後や栄養状態が悪い場合に起こりやすいとされています。